2010年12月24日

三線について。

わたしは、三線が「弾ける」…と言ったら嘘になる程度。
でも「弾けない」と言っても嘘になるかな。
とりあえず、工工四は五線譜ほどじゃないけどゆっくりなら初見でも読めます。

でも、わざわざ工工四見なくても、音聴けばだいたいそのとおりに弾けるかな。

クラシックの人が「楽譜至上主義」に陥りやすいように、三線弾いてる人の中にも「工工四至上主義」に陥りやすい人がいるのかもしれない。

でも、正直思うんだけど、クラシックの五線譜なら「至上主義」にしちゃう人がいても仕方ないくらい精密だけど、工工四、更には邦楽の楽譜って、たいていは「覚え書き」「備忘録的メモ」のような大ざっぱなもので、出てくる音をちゃんと反映したものじゃないのに、と思えて仕方ない。

まあ、この話題がmixiのコミュで出てきた時に、「楽譜を丁寧になぞる価値はある」という人がいて、詳しく聞いたら「古典には精密な楽譜がある」のだそうで、そういうことならばその音楽にはまず楽譜から入らないといけない、そういうこともあるんだ、とは思ったけど……

正直なところ(ってこのフレーズ何度目?)、楽譜は音楽をやる「前提」にしかならない、と思う。
「楽譜さえあればなんでもやります」って、わたしには、かなり悲しい言葉。

でも、そんなこと言っても現実にはつい百年ほど前まで(の二〜三百年ほどの間)は、クラシック音楽を演奏する人の多くは「楽譜だけが頼り」だったわけで、たとえ一時的なことだったとしても、そういうことを全くふまえずに音楽やるっていうのもどうかな、とは思う。

ま、最終的に「音」でちゃんと勝負できれば、なんでもいいんだけど。

楽譜読めなくてもとても良い音楽作ってる人はいくらでもいる。
……けど、だからと言って「読めなくてもいいんだ!」と言う気にはなれない。
読めなくてそれでも素晴らしい音が出せる人は、たぶん「読めなくてもいいんだ!」と口に出してしまう人たちよりもずっと「よく聴いている」だろう。
聴く耳もなく読む目もないくせに「読めなくてもいい」なんて言うのは、わたしから見ると失笑もの。負け惜しみにしか聞こえない。

でも逆に、「譜面さえあれば」と言う人には、そんなものに頼ろうとしないで、もっと自分の耳で聴いて自分で音とって自分で工工四書きなよ、と言いたい。
だいたいの傾向として、自分で書かない(書けない)人は、読むのも限界がある。

……あ、わたしは逆に、「書けるけど読めない」。
いや、最初に書いたように、ゆっくりなら読めるんだけどね。
聴いたことない曲は、たとえ読めても「弾きたくない」。
だって、譜面だけじゃ、それがどんな音楽なのかはわからないじゃん。
だったら、コードだけしかなくてもちゃんと歌える人に口頭でどんな曲か聞きながら(というか一度歌ってもらって)、ただ伴奏するだけの方がまだまし。

今、洋楽(クラシックやポピュラーという意味)と工工四をごっちゃにして論じてしまっているのでわかりにくくなってしまったけど、特に工工四はそれ「だけ」に頼ってもまともな演奏ができるとは思えない。

だからといって、工工四を起こした人たちの苦労を蔑ろにするつもりもない。
これがあれば、もし万が一、不幸な歴史の積み重ねで琉球民族がこの世から一人残らず消え去ってしまうようなことがあっても、その存在の手がかりだけは遺るから。
貴重な、「手がかり」。

ま、それがわたしの立場、っていうことで。

きっと、音大行った経験のある人なら「アナリーゼしたことないからそんな風に思い込んでるのね」と哀れに思ってくれるでしょう。
だったら誰かわたしに、わたしの知らない、聴いたこともない、でもわたしがきっと大好きになるに違いない、そういう楽曲の、楽譜くださいよ!もしもそんなものがあるのなら、ね!

……あ、これ書いたら思い出した。
わたしがある楽曲や音楽を好きになるには、それを紹介してくれる「人」か「場面」が必要。
当たり前か。
音楽って人がいないと伝わらないものだから。
ぱちょこんに向かってYouTube探すだけで偶然に大好きになれる音楽を見つけることのできる確率は決して高くはないだろうし、YouTubeで探し出そうと思う動機はわたしにとってはほとんどが「誰々さんがいいって言ってたから」。
あとは楽器経由かな……でも、「人」が介在しない音楽は、わたしには縁遠い存在だ……


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Posted by さとばな at 07:19│Comments(0)民族楽器の系譜
 
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プロフィール
さとばな
さとばな
一五一会伝道者(ケイティクラブ公認インストラクター)、トランスジェンダー(ポストオペMtFバイ)。静岡出身。静岡大学合唱団いぶき卒、中央合唱団研究生を経験。萩尾望都他漫画好き。
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